トランスフォーマー
1980年代のおもちゃ市場を語るうえで欠かせない存在のひとつが、タカラ(現タカラトミー)とアメリカのハズブロが手を組んで展開した「トランスフォーマー」です。ロボットから車両や飛行機へと変形するギミックが画期的で、子どもだけでなく大人のファンも巻き込むブームを巻き起こしました。日本国内ではアニメシリーズ「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」が放映され、主人公サイバトロン(オートボット)と敵対勢力デストロン(ディセプティコン)の戦いが多くの少年たちを夢中にさせました。
当時としては精巧に作られた可動部品や、金属パーツが使われた重量感も人気の理由でした。玩具売り場では「どのトランスフォーマーを買うか」という選択が一大イベントになり、変形機構を覚えるために説明書を熟読する子どもたちの姿があちこちで見られました。海外でも「Transformers」として大ヒットし、シリーズとしては現在まで長期展開が続いています。映画化やリブート作品も含め、80年代発のコンテンツとしては屈指のロングセラーといえるでしょう。
ガンプラ
「ガンプラ」とは、1979年放映のアニメ『機動戦士ガンダム』に登場するモビルスーツのプラモデルを総称する言葉です。厳密には80年代に入ってから大ヒットし、「ガンプラブーム」を巻き起こすほどの社会現象となりました。子どもが作って遊ぶだけでなく、塗装や改造を施す「モデラー」が次々と現れ、プラモデル専門誌が飛ぶように売れるなど、子どもだけにとどまらない幅広い世代の人気を獲得したのです。
バンダイは需要に応えようと新商品を大量に投入し、一時期は生産が追いつかない「ガンプラ難民」なる言葉まで生まれました。作りやすいスナップフィット方式が普及したのもこのころで、パーツ同士をはめ込むだけで完成できる手軽さがさらにユーザー層を広げました。完成後もシールやデカールでカスタマイズできるため、自分好みの機体を作る喜びにハマるファンが続出したのです。
ドンジャラ
「ドンジャラ」はバンダイが発売したテーブルゲームで、麻雀を遊びやすくアレンジしたものといわれています。主にキャラクターを起用したバリエーションが豊富で、『ドラえもん』や『ポケットモンスター』など、子どもに馴染みのある題材を使っていたため、「家族みんなで遊べる麻雀風ゲーム」として広く普及しました。子どもでもルールが覚えやすく、積み木感覚で牌を並べる楽しさがありました。
ドンジャラの一番のポイントは、大人のギャンブルイメージが強い麻雀を「ファミリー向け」に再解釈したことです。得点計算もシンプルで、視覚的にもわかりやすいため、兄弟や友達同士で遊ぶだけでなく、親子でも楽しめる点が80年代当時の家庭にマッチしました。派生商品として「スーパー戦隊シリーズドンジャラ」「ディズニーキャラクタードンジャラ」などが登場し、子どもの興味に合わせて選べるバリエーションが多数存在したのもヒットの要因です。
80年代玩具の余韻を楽しむには?
80年代のおもちゃには、単に遊ぶだけでなく「見て触って動かして楽しい」要素が詰まっています。メカニカルな変形や組み立て要素、キャラクターへの愛着など、子どもの想像力を豊かにする仕組みが多くの製品に組み込まれていました。また、一部の商品には金属パーツや重厚なギミックが使われており、現代の軽量化が進んだ玩具にはない質感が楽しめるのも魅力です。
現在では復刻版やリメイク版が発売されることも多く、当時を知らない世代も新鮮な気持ちで手に取ることができます。コレクター市場では高値がつくものもありますが、中古ショップやオークションなどを探せば、意外と手頃な価格で手に入ることもあるでしょう。80年代に一世を風靡したおもちゃたちに改めて触れることで、あの時代の熱気や夢中になった感覚を今でも追体験できるはずです。