テレビを取り巻く環境の変化
かつてはテレビが「家族みんなで見る唯一の娯楽」という時代がありました。ゴールデンタイムには家族全員がリビングに集い、同じ番組を視聴することで会話が生まれ、社会全体が同じ番組の話題で盛り上がることも当たり前でした。しかし、インターネットやスマートフォンが普及した現代では、同じ時間にテレビの前に集まる必要がなくなり、視聴スタイルが大きく変化しています。
また、テレビ局にとっても視聴率至上主義から、オンデマンド配信やネット動画との連携へと戦略を変える流れが加速しており、一つの番組がリアルタイム放送だけでなく見逃し配信やSNS拡散など、マルチプラットフォーム展開を前提として作られるケースが増えました。
テレビ番組の変化
昔は「バラエティなら芸人とタレント、大物司会者が盛り上げるもの」「ドラマはファミリー向けや刑事ものが中心」という固定のイメージが強く、視聴率の高い番組が長期にわたり放送される傾向がありました。大掛かりなセットを用意したり、全国的に旅ロケを行ったりと、テレビ局が潤沢な予算を使って豪華な演出をすることも珍しくありませんでした。
しかし現在では、ネット配信との競合や広告収入の減少など、テレビを取り巻く経済状況が変わり、番組制作の予算が削減される傾向にあります。その結果、スタジオトークや少人数でのロケなど、コンパクトにまとめられた番組が増えました。一方で、クリエイターや若手芸人が独自のアイデアでネットと連携し、新しい視聴層を獲得する取り組みも行われています。
昔と今をつなぐ「テレビ文化」
テレビが家庭の中心にあった時代には、大ヒットドラマや国民的アイドルの歌番組などが「社会現象」を生み出しやすかったといえます。特定の番組が数十%以上もの視聴率を記録することも珍しくなく、翌日には学校や職場で番組の話題が飛び交ったものです。バラエティ番組の企画が社会現象化し、CMに出演する芸能人の一挙手一投足が国民的ニュースになることもありました。
一方、現在は動画配信サービスやSNSの台頭によって、ユーザーが番組を視聴するタイミングも自由になり、そもそも地上波テレビを持たない世帯も増えてきています。それでも、大型スポーツイベントや紅白歌合戦など、一部の番組はリアルタイム視聴を前提とした盛り上がりを見せることがあり、テレビならではの「ライブ感」を求める層が一定数いるのも事実です。
変化の先にあるテレビの姿
かつてのテレビが担っていた「みんなが同じ時間に同じ番組を見る」という役割は、ネット動画やSNSにシェアされる形で多様化してきました。しかし、テレビならではの速報性や公共性は依然として高く評価される面もあり、災害情報や緊急報道などでは大きな役割を果たしています。
今後はテレビとネットの垣根がさらに薄れ、番組内容がSNS前提で構成されたり、視聴者が配信に参加する仕組みが当たり前になるかもしれません。つまり、テレビ番組とネット配信が融合し、個々の視聴者が好きな時間と方法で番組にアクセスできる新時代が、本格的に訪れつつあるといえるでしょう。昔のテレビ番組が築いてきた巨大な「共有空間」は形を変えながらも、令和の時代に新たな視点で受け継がれていくのかもしれません。テレビを通じたコミュニケーションの可能性は、まだまだ尽きないのです。